「ポリアモリー(polyamory)」とは、複数の恋人を持ち同時にお付き合いをする、新しい価値観・営み方をする人を指します。
アメリカでは、すでに恋愛スタイルとして認知されていますが、日本ではまだまだ浸透していません。
そのため、性的マイノリティな彼らを誤解する人もたくさんいます。
もちろん、すべての事を理解するのは難しいかもしれません。
ただ今回は、皆さんで「愛の価値観とは何なのか?」を少し考えてみてほしいのです。
ポリアモリーの人たちが、自分の人生を胸を張っていきていくためにも、「ポリアモリー」という新しい交際関係があることを、この記事を通してぜひ知ってください。
浮気でも不倫でも略奪愛でもない
ポリアモリーは先ほどもお伝えしたように、複数の恋人を同時に愛する人のことです。
もちろん、プラトニックな交際ではなく、性的な関係も含まれます。
こうお伝えすると多くの人は、二股や浮気、不倫、略奪愛をイメージしてしまうかもしれません。
ですが、彼らは複数人のパートナーと、隠れてこそこそ交際しているわけではありません。
すべて、恋人と合意の上で恋愛関係になっているという特徴があります。
ポリアモリーの生き方には、隠し事や嘘もなく、AさんとBさんどっちが好き?と、愛に優劣をつけることもありません。
Aさんは遊びでBさん本命という概念もありません。
どちらも本気で愛しているのです。
著名人にもポリアモリーはいる
「ポリアモリーという愛のかたち」と、自身のブログで公表しているのが、叶恭子さんです。
彼女のブログの中では「誠実で正直な愛」。
そして、「お互いとてもフェアな関係」なのだと説明されています。
このように、誰かを傷つける行為ではなく、ただ誠実な愛を育んでいるだけなのだ、ということが分かります。
「正直、理解できない」
「複数愛は気持ち悪い」
「隠さなければ浮気じゃないってこと?」
「二股や三股を正当化してるだけじゃないの」
なかには、このように不快感を示す人もいます。
私たちが知っている(理解している)価値観というのは、生活のなかで作られたもの。
何を優先するべきなのか、何が正しいのか、物の良し悪しを判断する基準になっているのが価値観なわけですが
ポリアモリーを知らないから必要のない価値だと思うのではなく、新しい愛のカタチ(価値観)と向き合う必要があるはずです。
他人の愛情に対して、他人が勝手につくった価値観を押し付けて、なんの意味があるのでしょうか。
そもそも、価値観は違って当たり前。全部同じなんてあり得ないのです。
「恋愛はこうするものだ」と誰も決められないはず。
だからこそ、バッシングし続けても、何の意味もないように思えてなりません。
法的な壁は乗り越えられない
今現在では、ポリアモリーの考えに基づいた法律はありません。
そのため、日本では一夫一婦制であり、複数の人と結婚をすることは法律上許されていません。
しかし、LGBT《レズ(女性同士)、ゲイ(男性同士)、バイセクシャル(両性愛)、トランスジェンダー(性同一性障害)》のように、結婚しなくてもお互いが幸せだと感じる形を見つけて、幸せな時間を送っているカップルは沢山います。
たとえば、同姓同士では籍を入れることができませんが、結婚式なら挙げることができます。
2人の愛を家族や友人に誓い、愛し合っている2人だと認めてもらうこともできるのです。
そして、2015年には「パートナーシップ証明書」の交付がスタートしました。
これにより、結婚に相当する関係であることが、国からも認めてもらえるようになったのです。
とはいえ、ポリアモリーに対する法的な動きが、今後作られるかはわかりません。
ですが、こうして性別にとらわれないあり方がいま、日本でも広がっています。
まだまだ、性別に対するいやがらせやバッシング、いじめなどがありますが、少しずつ変わっているのは確かです。
ポリアモリーと浮気の線引きは難しい
ポリアモリーと言っても、人によって愛のかたちが様々です。
複数のパートナーを平等に愛してしまう人がいれば、愛されない寂しさから、複数の人と関係を持ち依存しているだけの人もいます。
「複数の恋人を同時に愛せる」という事だけでは、ポリアモリーなのか浮気なのか、その線引きをすることはとても難しいことだといえるでしょう。
ただ、ひとつ言えるのは、寂しいからセックスがしたいという人はポリアモリーではありません。
セックスが目的なのではなく、ありのままの自分を愛してくれて、自分も愛したいという根底がポリアモリーにはあります。
まとめ
ポリアモリーは、誰かが不幸になることを望んでいるわけではありません。
まして、自分たちが正しいのだと主張しているわけでもありません。
私たちが、恋人に居心地のいい安らげる場所を求めるのと同じで、ポリアモリーも、居心地のいい安心できる恋愛をしたいだけなのではないでしょうか。
今回は、ポリアモリーという新しい交際のかたちについてご紹介しました。
今の若い人は、新しい価値観を作り、大切にできる度量の大きさと感性があります。
この傾向は、きっとこの先、様々な愛のかたちを育む人にとって希望の光となるはずです。
LGBTのようにポリアモリーも正しく理解され、外国だけではなく、日本でも性的マイノリティへの理解の声が広まり
そして性的少数者という捉え方がなくなる日が来るのは、そう遠い話ではないのかもしれません。